イタリア・ローマのテベレ川沿いにあるサンタンジェロ城は、西暦135年から139年にかけてローマ皇帝ハドリアヌスが自分と家族の墓のために建て始めた建物です。もともとは「ハドリアヌスの霊廟」と呼ばれ、白い大理石とトラバーチンで覆われた円筒形の建物で、上には庭園とハドリアヌスを乗せた青銅の戦車像がありました。皇帝の遺骨は139年にここに安置され、その後カラカラ皇帝までの歴代皇帝の遺骨も置かれました。しかし、5世紀にローマの防衛壁に組み込まれて要塞化され、中世には教皇の避難所や牢獄として使われるようになり、建物の姿も大きく変わりました。
実際に訪れると、まず驚くのが建物の大きさと厚い壁です。入口から螺旋状のスロープを上っていくと、古代の墓の部分から次々と時代が変わっていくのがわかります。中世の要塞の部分では大砲が置かれていた丸い窓があり、教皇の居室には美しいフレスコ画が残っています。特に印象的なのは屋上のテラスで、ここには大天使ミカエルの像が立っています。590年に疫病が流行した時、教皇グレゴリウス1世がこの上でミカエルが剣を収める姿を見たという伝説があり、それから「サンタンジェロ(聖天使)」という名前がつきました。今の青銅像は1753年に作られたもので、城のシンボルとなっています。テラスからは、テベレ川、サン・ピエトロ大聖堂のドーム、ローマの街並みが一望でき、夕暮れ時の景色は特に美しいです。
この城を訪れる最大の理由は、一つの建物でローマの長い歴史を体感できることです。コロッセオが古代の力を示すなら、サンタンジェロ城は古代から中世、ルネサンス、近代へと時代が重なった生きた証人です。14世紀から教皇の隠れ家として使われ、1527年にローマが略奪された時、教皇クレメンス7世は城とバチカンをつなぐ秘密の通路「パッセット・ディ・ボルゴ」を使って逃げ延びました。この通路は今も見ることができます。城内には牢獄もあり、哲学者ジョルダーノ・ブルーノなどがここに囚われていたこともあります。1933年以降は博物館として一般公開され、武器や家具、絵画などが展示されています。
効率よく楽しむためには、開館時間の9時に入るのが最もおすすめです。開館時間は火曜日から日曜日の9時から19時30分で、最終入場は18時30分です。月曜日と1月1日、12月25日は休館です。毎月第1日曜日は無料で入場できますが、当日券の配布で長い列ができるため、事前予約が賢明です。チケットは大人15ユーロで、オンライン予約には手数料がかかります。18歳以下は無料です。最寄りは地下鉄A線のレパント駅またはオッタヴィアーノ駅で、どちらも徒歩12〜15分です。バチカンからは歩いて10〜15分で、サン・ピエトロ広場からヴィア・デッラ・コンシリアツィオーネをまっすぐ歩けば到着します。朝にバチカン美術館を回り、午後にサンタンジェロ城を訪れ、夕方にテラスから夕日を眺めるのが理想的な一日コースです。ローマの歴史が層になって積み重なったこの城は、初めての旅行者にもリピーターにも、永遠の都の変遷を感じさせる外せない必見スポットです。
☞ サンタンジェロ城






