イタリア・ローマの歴史地区の北端にあるポポロ広場は、かつて北ヨーロッパからの旅人や巡礼者がローマに入る最初の門だった場所です。「ポポロ」はイタリア語で「民衆」を意味しますが、名前の由来は古代にこの一帯に生えていたポプラ(ヤナギ科の木)の森「ポプルス」に遡ります。広場の中央には、紀元前13世紀にエジプトで作られた高さ約36メートルのオベリスクがそびえています。これは古代エジプトのラムセス2世とセティ1世の時代に作られ、ローマ皇帝アウグストゥスがエジプトを征服した後、紀元前10年頃にローマに運ばれました。当初は大競技場に置かれていましたが、1589年に教皇シクストゥス5世によって現在の広場に移設されました。
実際に訪れると、まず感じるのが広場の開放的な雰囲気です。楕円形の広場は19世紀に建築家ジュゼッペ・バラディエによって整備され、中央のオベリスクを囲むように3つの噴水が配置されています。オベリスクの足元には4体の大理石の獅子が配された「獅子の噴水」があり、東西には「ネプチューンの噴水」と「ローマの女神の噴水」が対になっています。広場の奥には、3本の通りが南へ向かって伸びる「三叉路(イル・トリデンテ)」が広がり、中央のコルソ通りを挟んで左右に「双子教会」が並んでいます。左側のサンタ・マリア・イン・モンテサント教会と右側のサンタ・マリア・デイ・ミラーコリ教会は、17世紀にカルロ・ライナルディが設計し、見た目はよく似ていますが、ドームの形や鐘楼など細部に違いがあります。
この広場を訪れる最大の理由は、ローマの歴史と芸術を一度に楽しめることです。広場の隅にあるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会は、1227年に建てられた古い教会で、内部にはルネサンスの巨匠ラファエロが設計したキージ礼拝堂や、カラヴァッジョの代表作「聖パウロの回心」「聖ペテロの逆十字の磔刑」が飾られています。入場は無料で、至近距離でこれらの名画を鑑賞できるのが大きな魅力です。広場の北側にあるポポロ門は、15世紀に教皇ピウス4世が再建し、1655年にはベルニーニがスウェーデンのクリスティーナ女王を迎えるために内側を装飾しました。門をくぐると、広場の奥に広がるピンチョの丘へ続く遊歩道があり、丘の上からはローマの街並みとサン・ピエトロ大聖堂のドームが望める絶景が広がります。






