イタリア・ローマの中心部に位置するスペイン広場は、18世紀に完成したバロック様式の階段が世界的なシンボルとなった、ローマ屈指の優雅な広場です。正式名称は「スペイン広場」ですが、階段の名称は「トリニタ・デイ・モンティの階段」と呼ばれ、137段の幅広な石段がピンチョの丘の上にあるトリニタ・デイ・モンティ教会へと伸びています。広場の中央には、1629年にベルニーニの父ピエトロが設計した「破船の噴水」が鎮座し、流れる水と彫刻の調和がバロックの精神を体現しています。観光客だけでなく、地元のローマ人も夕暮れ時に集い、階段に腰掛けて会話やギターの調べを楽しむ、ローマの社交文化の縮図です。
実際に訪れると、まず感じるのがこの空間が持つ「開放感と親密さの共存」です。朝の静かな時間帯は、階段の石面が柔らかな光に照らされ、数少ない観光客と地元のジョギング愛好者が行き交う落ち着いた雰囲気が広がります。対して午後になると、広場周辺のベンチやカフェテラスに人々が集まり、ジェラートを片手にバスキングする音楽家の演奏を聴く、活気あるローマの日常が繰り広げられます。春のツツジの季節には階段全体がピンク色に染まり、5月の「ローマの祭典」では伝統的なイベントが開催され、一年を通じて異なる表情を見せます。丘の上の教会からは、ローマの街並みと遠くにサン・ピエトロ大聖堂のドームが望める絶景が広がります。
この広場を訪れる最大の理由は、ローマの「エレガンスと生活感」を同時に体感できることにあります。コロッセオやフォロ・ロマーノが古代の歴史を語るなら、スペイン広場は近代ローマの洗練された文化と日常が交差する場所です。広場周辺には、イタリア屈指の高級ブランドが軒を連ねるコンドッティ通りや、ボルゴーニョーナ通りが広がり、ショッピングと歴史散策を一度に楽しめます。隣接するバビントンのティールームでは、1893年創業の英国式アフタヌーンティーが味わえ、夕方には地元の人々が「パッサジアータ」(夕方の散歩)を楽しむ姿が見られます。ただし、2019年7月から階段での座り込みや飲食は厳格に禁止されており、違反すると250ユーロ、汚損時は400ユーロの罰金が科せられます。見張りの警官が常駐しており、座ろうとすると警笛で警告されるため、階段は鑑賞のみと心得る必要があります。
効率よく楽しむためには、朝8時頃に訪れ、人波が増える前に階段と噴水を写真に収めるのがおすすめです。最寄りはローマ地下鉄A線のスペイン広場駅で、テルミニ駅からも数駅です。階段を上りきったトリニタ・デイ・モンティ教会は無料で見学でき、その後は丘の裏手を通ってヴィラ・ボルゲーゼ公園へ続く散策ルートが人気です。周辺にはトレヴィの泉やパンテオンも徒歩圏内にあり、朝のスペイン広場から歴史的中心部を巡るコースが理想的です。ローマの華やかさと地元の日常が織りなすこの広場は、初めての旅行者にもリピーターにも、永遠の都の魅力を凝縮して届けてくれる、外せない必見スポットです。
☞ スペイン広場






